数年前に一度だけ入ったBar
そして一度だけ頼んだ注文
1杯目がアイレイモルトのカリラ
2杯目が同じくアイレイのラガヴーリン
後はなんだか覚えていないが結構な量を飲んだ
その後他の店でその時のバーテンダーの方とであった
ずいぶんと時間が経っているが彼の楽しそうな顔はそのままだった
再度の出会いに対して喜ぶ俺
すっかり最初の注文を忘れてクレメンタインを頼んでいた
それから何ヶ月か過ぎた頃
すでにクレメンタインが「いつもの」で出てくるようになっていたが
たまたまカリラを飲みたくなって1杯目に注文した
とても飲みたかったせいかすぐに飲み干してしまう
さて2杯目は何にしよう?
考えている俺に対してそのバーテンダーの方はこう告げた
「ベティさん2杯目はたしかラガヴーリンでしたよね」
普通に驚いた
だってその組み合わせで頼んだのは1回だけ・しかも2年ほど前の話だ
大体初回に頼んだ時だって俺は一見さんだ
その後に何度か通っているなら話は別だがそれからと言うものその店に行っていない
久々に出会って・更に相当の時間が立っているのに1回目の注文の組み合わせを覚えてくれていた
「いやぁベティさんの飲み方は忘れられないですよw」
相当な量を飲んだということだが・それにしたって1杯目と2杯目を覚えているのは凄い
「アイレイモルトが好きな方だなと思いました・僕もアイレイが好きなんで覚えてたんですよ」
俺は自分がバーボン好きでも人が何のバーボンを飲んだかなんて覚えてない
仲のいい友達と飲み比べをしたときもメモった酒をかろうじて覚えてるくらいだ
これは酒を飲んで思考が麻痺しているとかそういうレベルではない
彼がプロのバーテンダーだからこそなのだ
客の注文を覚えている・そして客が迷ったときにすかさずそれを出せる
しかも2年前の注文だ
こういうバーテンダーはそうは居ない
あ〜いいバーテンダーを見つけたなぁ…
心から嬉しかった
それからと言うものカリラとラガヴーリンは忘れる事のできない酒となる
特にラガヴーリン
2杯目を覚えていてくれた事が一番心に響いた
アイラ独特の重厚なピート香とシェリーダルのフレーバーが心地よい酒
何百とあるスコッチモルトの中で「最高」の呼び声高いラガヴーリン
だけど俺はその部分が好きなんじゃない
バーテンダーの心意気を感じさせてくれるラガヴーリンに惚れてしまった